相続登記って、そもそも何?
相続登記とは?
相続登記とは、土地や建物(不動産)を所有している人が亡くなった際、その所有していた不動産の名義を、相続した人へ変更する手続きのことを言います。
相続登記とは、土地や建物(不動産)を所有している人が亡くなった際、その所有していた不動産の名義を、相続した人へ変更する手続きのことを言います。
2024年(令和6年)4月1日から相続登記を始めとした「登記」に関して、法改正が行われます。その法改正の中に、相続登記を相続人が決められた期間内に行うことを制度化した「相続登記(所有権の移転登記)の義務化」があり、これまでなかった相続登記に関する期限と罰則が新たに設けられ、相続に関する登記が義務付けられます。
これまで相続登記には期日や罰則を設けていなかったことから、土地の名義を変えなくても不利益になることはありませんでした。しかし、平成29年度土地所有者等に関する調査によると、約22.2%の土地が不動産登記簿のみでは所有者の所在を確認することができず、不明化した原因としては、相続登記の未了が約65.5%となっています。不明化した土地は、日本国土の約22.2%(410万ha/九州全土を超える)ほどに増加したことで、「空き地の管理不足による近隣住人への生活被害」や、「災害で復旧・復興を待ち望まれる事業が円滑に進まない」と言った様々な問題を発生させました。そして、超高齢社会の日本において死亡者の増加により、さらなる深刻な状況を引き起こす恐れが出てきたため、問題解決に向け、相続登記を義務化する改正案が可決、2024年より相続登記の義務化が施行される運びとなったのです。
相続登記が義務化されると、相続登記を3年以内に行わなければいけなくなり、怠った場合は罰則(10万円以下の過料)が課されます。
この義務化に伴い、遺産分割の調停中(裁判)など、やむを得ない事情がある時の救済措置が制定されました。これは、自らが対象の相続人である旨を申し出たら、一時的に申請する義務を履行したものとみなす制度です。ただし、その後の遺産分割協議等で相続人が確定した場合は、その日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
また、相続登記の義務化に加え、「住所・氏名の変更登記」も義務化される予定ですので、所有者の氏名や住所に変更があった場合、その日から2年以内の変更登記を行いましょう。怠った場合、こちらも罰則(5万円以下の過料)が課されますので要注意です。
義務化に伴い、相続登記を行わなければ罰則(10万円以下の過料)が課されますが、それ以外に相続登記をせずに放置をした場合、様々なリスクがあることをご存じでしょうか?
これまで相続登記には「いつまでにやらなければならない」という決まった期限や、相続登記をしなくても罰則は発生しませんでした。そのため、役所からも連絡が来ないからといって、放置しておくと「先祖代々受け継がれてきた土地や家の名義を調べてみると、自分にとっては4代も前の当主だった!」なんて事例も少なくはありません。
相続登記をしなかった場合、何が危険なのか?どのようなリスクがあるのか?をご紹介いたします。
不動産の名義が亡くなった人、つまり「被相続人」のままだった場合、その不動産を「売る・担保に入れる」といったことはできません。
名義人が亡くなったあとも同居人が住み続ける、すぐ売却するつもりはない、といったご事情もあるかと思いますが、将来売却するとなった際に、いざ蓋を開けてみると「相続人の中に連絡が取れない人がでてきてしまった!」、「権利関係がとても複雑で書類集めが大変!」といったお話しもよく聞きます。
顔も知らない相続人と相続紛争に発展することを防ぎ、ご自身のお子さんやお孫さんが相続に関して困らないように、相続登記は早めに行うことをおすすめします。
他にも「相続登記の際、相続人の中に認知症の方がいて、成年後見人制度が必要だった!」「相続人に行方不明者がいて、不在者財産管理人が必要になった!」というケースもあります。
相続人の中に「借金」を抱えている人がいる場合、不動産が差し押さえの対象になる可能性があります。
遺産分割協議が終わっていたとしても、相続登記が完了していなければ、法定相続分に応じて不動産を共有している状態にあるため、債権者は「債務者の法定相続分」を差し押さえることができるのです。
長年、相続登記を放っておくと、相続人が増えるにつれ、こうしたケースも増えてくる可能性があり、家族・親戚間で揉め事に繋がる可能性も。そういったことを未然に防ぐためにも相続登記は、早めの確認と対応が必要となってきます。
相続登記を何世代もしないままでいると、名義人は何世代も前の当主のままとなり、時間の流れと共に気が付けば何世代もまたいで相続人が増加します。
いざ、相続登記の手続きを進めても、疎遠状態の親戚も含めた全員が相続人になりますので、遺産分割協議で相続人全員と話をして、合意を得るまで、時間も必要となりますし、手続きが難航する恐れが出てきます。
こうした状況を生み出さないためにも、相続登記は期限内に行い、次世代にしっかりと受け継げるよう対策を取っていきましょう。
相続登記の義務化がはじまっても、下記のように
といったケースも中には考えられます。
このようなケースの場合、
「相続人申告登記」という制度を利用することが可能です。
この制度は、相続人であることを事前に法務局に申請することによって、すぐに相続登記ができない場合でも、登記官が不動産登記に情報を付記することで「発生した相続登記の義務を履行したことにできる」という制度となっています。
このように、様々なケースで登記が《すぐにできない》・《申請期限に間に合わない》という場合でも、救済措置となりうるご提案も可能ですので、まずはご相談いただくのが一番の近道かと思います。